[扉を出たところで城主は片手の指を口に含み、牙で噛み破って、血を床に垂らした。ひとしずくの血が床に染み込むと、そこから野茨が芽生え、蔓を伸ばして広がりはじめた。城主が歩き出せば後を追い、さらに枝葉を茂らせる。ところどころに野茨は赤い花を咲かせた。]