― 中央平原 南側 ―
[互いに信念を以てぶつかり合うならば、遺恨はない。ただ全力で切り結ぶのみだと、思ってはいたけれど───]
………っ !
[不意に呼吸が乱れた。手が緩む。
その隙を逃す老将でもあるまい、鋭い斬撃が襲って来た。避けきれず、咄嗟に掲げた盾は間に合わずに深く腕を切り裂かれた。痛みに顔を歪めながら、ともあれ距離を取れただけ重畳だろう。]
待───、て。 停戦、……だッ!
[なに?と問う色が老将の顔の面に揺らぐ。
時を置かず響く声のことを説明する猶予はない。だが、一先ず相手の手が止まったことをみとめて、声を張り上げた。]