[虚ろな声で続けた。] レストランでぼんやりと誰かが戻ってこられないかと待つうち、 エレオノーレさんの紅茶のよい香りのことを思い出し、 皆さんがメイン・サロンにおられるなら、 そこに紅茶を持って行きたいと考えて……、 しかし、 私の判断はおかしい。 狂っています。 なぜ事故のこと、瀕死のマリエッタさんのことを誰かに 伝えようとしなかったのか。