― 大浴場・脱衣所 ―[>>52 慣れているとはいえ、片足がほとんど使えない状態で服を脱ぐのは、当然普通よりも時間が掛かる。丸椅子に腰を降ろし、上衣に手をかけたところで、一瞬だけ脱ぐのを迷ってしまった。この身体は傷だらけだから――と。しかしあまりニコラスを待たせるのも本意ではないと、薄地の上衣を脱ぎ、端へと寄せた。] まあ、脱ぐのは慣れてるから… っ、[古傷をなぞっていく指先に、くすぐったさを覚え。指が動く度に、身体がすこし、揺れる。]