[三つ。数えて、話し声のしないことだけ確かめると、扉をぐいと押し開けてひょいと顔だけ覗かせました。
果たしてその場に祖父の姿はなく。
何やら居心地の悪そうな殿方が一人きり。>>48]
おじ様、退屈そうね?
[第一声は偶々通りかかったように装って。にこにこと。
お祖父様との話し合いが始まっていないのなら遊んで欲しいとせがむに至るのにそう時間はかからず。
やがて渋々と言った様子で低く一曲が供されれば暇を持て余していた小娘は手を鳴らして喜んで、]
ね、もう一回!いいでしょう?
[それからお祖父様がやって来るまで歌を請い、
応接室を追い出される頃には、すっかり覚えてしまったのでした。
気に入ったのかと問われた>>49なら、答える時には常の大人ぶった表情ではなくて純粋に口元を綻ばせて、笑んで]