[ 憤る姿を、投げつけられる疑問を聴く。
答えることはない。
その前に、息が詰まったような声が聞こえたから。]
…………リヒャルト?
[心配ともつかない、何が起こっているか理解していない眼は相手と同じ手の甲を見る。
禍々しい逆十字の紋。
虚空へと口を開く相手を見て、…ではない他の誰かの存在がリヒャルトに語りかけていることを理解した。
そして、その者が何を告げたのかも。
目を細める。
魂の半分を捧げると答えた事に後悔は無かった。
リヒャルトだけの残り時間は、あと数日にも満たないのだから。
それならば、]
…………そう、全部それのため。
此処まで来たのも、あなたの使い魔になっていたのも、全部ぜんぶ。