例えば。
今捕らえている者で、王子を希望とすがる者を選出する。
できれば家族が良い。その中の一人を選出し何人かそういうものを集めた後。
義勇軍加入希望の民兵に偽装して潜入し、王子、もしくは敵指揮官を打ち取れ。
そうすれば、家族諸共生活の安全と地位と財を与えよう。
仮にお前が死んでも家族の役目を果たせば家族について同じものを保障する。
といって取引をする。
まあ、その実人質を取るわけだがね。断れば勿論殺す。敵軍に寝返れば勿論家族の命はない。
人は弱い―――義よりも自分の命や身近な人間や人間が大事だ。
さらに、成功すればこの嘗てないほど抑圧された生活から抜け出せるというご褒美つきとなれば…
何人かは、約束が守られるかどうか半信半疑ながらも従うだろうね。
で、そういう者たちを警戒して奴らが殺していくなら、民兵たちの疑心暗鬼と士気の低下は見込めるだろうね。
[卑怯を卑怯とも思わず案を朗らかな笑顔で伝える。]
まあ、多少時間と手間がかかるから、今から実行できるかは難しいところではある。
小細工をするまでもなく鎮圧できる、というなら必要のないこと。忘れてくれ。