[ やがて。
出てきた言葉は思いもよらぬもので>>54
薄い笑みも思わず抜け落ちて
きょとりと開いた瞳で見返し、
直ぐに目を伏せて低く言葉を押し出す。 ]
……薄々はわかっているんじゃないのかな。
国の一大事に東屋に篭る画家の元へ
物好きにも訪れて聞かれたくないような話をする…
[ 皆までは言わない。
けれども、言葉を止めもしない。 ]
……ねえ、きみは新たな王が即位することで
本当に平和が訪れると考えるかい?
賢王と名高かった先代の王の代のようにこの国は
退屈で平和な日常を続けていけると信じている?
[ 東屋の近くにはきっと誰もいないけれど
殊更顔を近づければ、金糸を擽る近さで囁いた。 ]