――回想――[ 少女がひとり、歩いていた。 その足取りはふらふらと覚束 ない 親に棄てられ帰る場所もなく 身に持つ病のせいで体は重く視界も霞む ついに少女の歩く足が止まり、その場に倒れ伏す ああ、死ぬのかな、と 少女はぼんやり、思った 悲しくて 惨めで 辛くて 涙が流れたそのとき ―――声が、響いた ―――“生きたいかい?”、と 少女は薄れゆく意識の中で、藁を掴むように応えた ―――“生きたい”、と その意味も、知らぬまま ]