― 聖神神殿・鍛錬所 ―
[アイルリートの罵倒>>44に反論する気力もなく、ただ軽く笑ってみせる。
周囲へ寄り添う地の精霊が、少し神妙な声になって囁いた]
『地のちからはみちた』
『おかえり、だいちのみたま』
『なげきにもゆらがず、きぼうをささえるもの』
[その声と共に、周囲の気配がおぼろげながら、男の目でも認識できるようになった。
そして伸ばした手の掌の上、山吹色の立方体が、実体を持って現れる。
疲れ切った指を曲げ、落とさぬように握り締めると、周囲の気配からじわり、熱と共に力が流れ込んできた]
お? なんだか疲れが取れてきたような……。
あ、悪い、やっぱ無理だ。
[目覚めたばかりの未熟者では、精霊の力を活力に変換することもままならない。
結局は回復なり引き摺られるなりで、アイルリートの手を借りることになるだろう]