―教会―
[牧師様は、微笑みました。いつものあの、穏やかな牧師様のお顔です。]
「……このことを知らない人が、まだたくさん居る。どれだけの人が従ってくれるか分からないけれど、私はこのことを、村の人達に伝えに行くよ。」
でしたら、私も……。
「コニー。」
[一緒に行こうとして、やんわりと止められてしまいました。この顔で名前を呼ばれてしまうと、私にはもう、何もできなくなるのです。
人を食べることも、愛しい家族に追い縋ろうとすることも。]
「……大丈夫、いよいよ危なくなったら、私もちゃんとそちらへ向かうよ。」
[駄々っ子をあやすように、牧師様は私を抱きしめ、仰いました。]
「コンスタンツェ、あなたには生きる義務がある。亡くなり、あなたの生命の礎となったご両親の分まで。あなたは、生きることを望まれたのだから。あなたのお母様と、お父様と……そしてこの、私に。
愛しているよ、コニー。私の愛しい娘。」
[その言葉を最後に、牧師様は、教会をまた出て行かれてしまわれました。]