[獲物を咥え戻り来た犬へ褒美を与え、繋いだ馬の元へと戻る。
男は元々狩猟師だったわけではなかった。
機械技師として城で働いていたある日、突如起こった
『とある検査』で陽性判定が出、翌日着の身着のままで
王子の城へと収集され―― 第二王子の傍付きを命じられた。
王子専属の親衛隊。
護衛任務が主だろうと思っていた頃が懐かしい。
腹部には、王子の手により撃ち抜かれた弾痕が存在する。
こんな曇り空の日にはまだ、古傷が疼くものだ。
白手袋を嵌めた指先で横腹を、そっと撫でた。
吸血種に変化する為と、様々な試薬を試され
挙句、「死なない身体」になったかどうかを、直接試される。
まさに、地獄の日々だったけれど]