[ この天使は悪魔の微笑みを畏れず
堕天使の堕落を見下し、
人々の人生をも冷めた瞳で眺めている。
実際には感情というものが希薄なのだろう。
だが、神に仇する存在としての悪魔と
高潔であり続けなければならない天使の
堕ちた姿だけは激しく憎悪していた。
それが天使にあるまじき感情なのかは
この天使が知覚し自覚するにはまだ遠く。
堕落して落ちぶれたものの末路に溜息を
こぼすしながらも花を愛でる。
涙も苦しみも悲しみも叫びもない天国で
天使は一瞬巡らせた低俗な感情を忘れ、
神への祈りと喜びを口遊んだ。 ]