これは──…[く。と、唇の端が持ち上がった。笑みを浮かべて足を踏み出す、その刹那に僅かな光を散らして魔将の姿はその場より消え失せる。程なく現れるのは魔王の御前、恭しく垂れた頭の上のフードは取り払われてある。]美酒には添え物が必要でしょう。いかがか?[差し伸べた指の先、芳香放つ果実が魔王のグラスの傍に現れた。宝石のようなそれらは、口に含めば甘やかに美酒を引き立てる。]