んーと、確かこの辺り……って、
[岩場を乗り越え、小さな川の流れを渡り、幼い頃の遊び場の一つだった森に入った頃。
耳に届いたのは、聞き慣れぬ音と、良く知る音、二つ。
肩の白猿が警戒の唸り声を上げるのを制して、近くの木に登った]
……プルウィア、静かに。
[落ち着かぬ白を宥めつつ、枝伝いに気配を感じる方へと向かう。
気配を殺して進んだ先に見えたのは、何やら絡みついた木と、そこからぶら下がる人影と、その下に群がる狼の群れ]
…………。
[状況が何によって齎されたものかはわからない。
わからないが、このまま捨て置くわけにはいかない。
そう、判断すればあとは行動するのみ。
背負っていた愛用の弓を下ろし、矢を番えて狼の群れへと躊躇いなく放つ。
思わぬ角度からの攻撃は獣を驚かし、数回の射撃の後、群れは森の奥へと散って行った]