[痛みを発しても、潤んだ瞳での抗議>>45も奪うものにとっては、次なる苛みを強請るものとしか受け取らず、心中を測ることもない。
背中に手をまわして引き寄せると、首筋に牙を躊躇なく突き立て、紅の甘露を啜り取れば、焦げた手、斬られた手は時間を巻き戻したように元に戻っていく。
握る刃からも力が抜けたところで、ようやく吸血をやめ血を浴びた紅い舌が新雪の柔肌についた傷痕にちろりと這わせる。]
…フン。我が供物となれるなど貴様には過ぎたる恩寵よ。
[傲慢に言うと、刃をくるりと手の中で回転させて柄を握りながら、袖より顔を出した黒い蛇が主の恣意に従って、バランのチャイルドの身に這い縄の役割として、胴体に巻きつくようにして両腕を万力の力で縛り付けんとする]