― バザール ―
[ 掌に乗る程度の卵のような形をしたそれは、深い緑の色硝子が貼られ、黒味を帯びた銀線がその上に幾何学模様を描いている。 ]
蝋燭だけじゃなくて油でも使えるのか…
[ 値札の説明書きを見ていると、店主の老人が近づいてきて、そのランプを取りひょいひょいと手まねきをした。
何事かと近づくと、老人は不意にしゃがみこむ。
テーブルの下、黒布が掛けられた暗闇に近い床の上に、ランプを置いて明かりを灯すと、硝子の上に優美な線を描く銀線が、いつかの月明かりのように夜の森を床の上に映し出した。 ]
……わ。
でも、これじゃ夜に本読むのには使えなさそうだなぁ。
[ そう言いつつも、すでに財布は取り出されていた。 ]