―墓下―
[ここへ来る前──二つ目、三つ目、四つ目の覚悟をした>>10
残る片腕も落とされて、オクタヴィアを抱き留められなくなること。
幼馴染…いや、それだでなく親友だと信じるアルヴィンと
サシャの想い人だったイェンスに挟み撃ちにされること。
……自分が逝くより先にオクタヴィアが殺され、絶望を重ねること。
──なのにどうだ。
激痛に焼かれ、急速に失われていく体温の中で。
末期の眼にまで遺るオクタヴィアの顔。そして唇の暖かさ>>12
“あきらめた時この世は美しくなる”とはどこの国の諺だっただろう。
もう見ることが叶わなくなった己の瞳。
ただ、まだ、耳は最期の瞬間まで音を拾っていた。>>24、>>25、>>26
(ザシュ!!!)頸動脈に入った>>26……そうして一度魂は霧散する。]
[意識(と、呼んでいいのかどうか)が戻った時には、再び右腕が生えていた。
……ありえぬことだから、瞬間、ここは地上ではないと思った。
間もなく気づくだろう。ここはアルヴィンが作った墓下であろうことを>>52**]