[>>52 満開の桜を空の上から見下ろすと、なんだかすべてがちっぽけで。たくさんの人が集まる上野なのに、自分たちには誰もきづいていないような、そんなようにも見え。隣にはアレクシス。目の前には美しい光景。暖かな猫の上で。]幸せだなあ――[そう素直につぶやいてしまうなんて、今日の自分はどうかしている――これも春の仕業か。酒屋が自らの店のことをお屋敷と呼び、高価なワインを渡してきた。ごくりと満開の桜を見下ろしながら、喉を潤す。舌の上で極上の果実の香りが広がる。]