― セーファ ―
[ 最初に襲ってきた魔物達を追い散らした後、騎士隊は、壁際と堀の内側を広く護る形で散開する。
一見したところ、東への侵入者を警戒しているように見せかけながら、しかし、徐々に、カスパルと数名の手練の騎士達だけが、西寄りへと動き始めている事は、余程注意していなければ判らなかっただろう ]
『隊長、我々だけ一度壁内に戻って一気に西へ駆けた方が早いのでは?』
[ 騎士の一人が、そう問いかけたが、カスパルは首を横に振る ]
東側にも護るべき民は居る。彼等も手薄になると判っていて、危険を承知で留まっているんだ、見捨てて行く訳にはいかない。
『しかし、ベルガマスコが陽動にかかれば、今度は西側が危険です。あちらには、数は置いていますが、経験の浅い者が多い...』
...それは案じなくていい。
食堂のフランツや、腕に覚えのある若者は多くあちらに向かったと聞いた。