―回想:自由《オルヴァル》の歌―[幼く、恐れ知らずであった私の昔話。それは銀色の髪の少年と出逢うことになる更に前のこと。][お転婆な小娘はその日も習い事の師の元から抜け出して広々とした館内をふらりふらりと歩き回っていました。時に中庭で剪定に務める庭師の鋏に悪戯を仕込んだり、飾ってある調度品の向きを気ままに変えたりなどしながら歩いて、歩いて。][客人の用向きの際には常にぴったりと閉じられている応接室の扉の前まで靴音を忍ばせてやって来ると。][中の気配を息を潜めて窺います。] [一つ、二つ…。]