[さっさと手慣れた様子で服を選び出し、ディークに宛がう。ディークに選んだのは、機能的なツイードの旅装。乗馬をしたいという意を汲んで、丈夫で動きやすく、汚れの目立たないものを。自分自身には、取り合わせで洒落て見えるものの、ありきたりのコートに白いシャツとネクタイ代わりのスカーフ、色味の薄いズボンにベストという、何処にでも手に入る衣服を選んだ。華美なところのまるでない、ごく普通の市民の着る衣服。試験のためではなく、それがコンラートが街歩きでいつも選ぶ服だった。