ならず者 ディーター

─ 現在・祭壇→ ─

［ジムゾンとオットーが運ぶのかと思ったが、ニコライに替わるらしい。
ニコライとゲルトは仲が良かった。だから、きっと自分が運びたい、と強く思うのだろう。それが、声音にも表れていたように思う。>>0:1294

自身の横に並んだカタリナが、牧杖で浮き石や障害物を払うのを横目で見る。
ぼんやりと広がるランタンの灯りに照らされている彼女の、杖を握る手が僅かに震えているように見える。

空いているはずの手はローブをキツく握りしめていて──少なくと、ディーターにはそう見えた──、何か声をかけようかと口を開いたところで、ジムゾンが先に声をかけた>>9ので、じゃあいいか、と口を噤んだ。

村のならず者が何か言うよりも、村の神父が何か言った方が安心感が違うだろう。
寧ろ、ここで村のならず者が何か真面目なことを言い出したら、それこそ──ああ、そうか。

合点がいったように、ひとり頷く。
それは周囲の人間から見るとかなり不自然な光景に見えただろうけれど。］