[ 眼前にする彼の素性を
実のところローレルはよく知らない。
…何となく。
何か抱えているものがあるような。>>0:372
そんな気配を時折話の中で感じていた。
けれど、深く聞く必要性も感じていなければ
彼の方から話を聞くこともなかったから
よくよく話を聞いてみようともしなかった。
…結局のところ、
"顔見知り"は顔見知りでしかなく。
互いに深淵を覗き合うでもなく付き合ってきた。 ]
…………もし、ボクが嘘を吐いていたとして、
それできみは―― …
[ 紅い色を湛えた水面が揺れる。
どうするのか、と、尋ねようとして
それを聞いてどうするのだと
自問が浮かべば言葉は声とは成らず。
暫らく彼の言葉を待つようにして黙り込む。 ]