[暴力的な白は、視界を染めて――残された自分はただ、そこに立ち尽くしていた。 現実に引き戻してくれたのは、誰か人を、と叫びだしたひとり。 そうだ。このままではどうしようもない。 ひとまず戻らなければと、宿への道を駆け戻る。 雪に埋もれた者の救助は、残された村人たちに任せた。 どこの誰なのか、どういった状態なのか、自分よりも詳しいのは明らかだからだ。]――すみません、手を貸してください!雪崩が! 巻き込まれた人もいます![宿の戸を力任せに開けるなり、そう叫んだ。]