[ 橋の手前まで戻り、荒ぶる馬を手綱で諌める。きょろきょろと見回すと、士気昂ぶる帝国軍人の合間に。ちらっと、小さな飼葉色の頭が見えた――気がした。暗がりでも目立つ、見覚えのある色。 ]!!――カサンドラ……主席代理!![ その小ささが、軍人の中でかえって目立ったのか。確信を得てその名を呼び、馬を走らせた。公国騎兵の返り血で、その白い軍服も白馬もべったりと赤く染めたまますごい形相で駆け寄ってくる姿は、もしかしたら世にも恐ろしいモノに見えたかもしれない。 ]