― 谷の入り口 ―
『マスターをはじめ、ここにいる全員は、基準値以上の瘴気に対する適正を保持している。
しかし、問題がないわけではない』
[けほん、と咳き込むフレデリカの背をやさしくさすって差し上げる。
フレデリカが似たように咳き込んだとき、どうすればいいのかと命令を問うた時、そばにいたイェンスの言葉を素直に実行しているに過ぎない]
『適応力が弱いものもじきになれる。
少々時間は必要である』
[他にもフレデリカと同じく気持ち悪くなっているものがいないかと無表情の首を360度まわした。
フレデリカの父親でもあるマッドなおひとは「死角なきシステム」と豪語した視野システムである]