[浮かべている笑みは、苦笑というより、どこか楽し気なもの。
まァ、あの子を驚かせてしまったなら悪いことしたなー、
取って食やしないのになあ、なんて、
微妙な反省も含まれてはいるものの。]
狐さんはお祭りで山から下りてきたのかい?
尻尾が出ないように気をつけなァ。
[自分の方が尻尾みたいな髪をしながら、ゆるり笑って、
からころと去ってゆく下駄の音を見送った。
子供一人で祭りを歩き回っても、あの様子なら、ま、大丈夫かなと。
人懐っこそうに道行く人たちに声をかけている様子を横目に、自分も歩き出す。]