― 過日/天使の翼教会 ―
よう、大きくなったなあ、マーレ。
[ 同じ姓を持つ少年に笑いかける。教会の孤児院出身者の中でも、生まれ持った姓が全く判らないという子供は、そう多くない。
だから自分と同じように親の判らない少年には、どこか他とは違う親しみがあった ]
うん、今日も大将…プロッツェ少佐のお供だ。何かまた面白い玩具作ったみたいだぜ。
[ 抱えてきた荷物をシスター達に預けてしまうと、すぐに年少の子供達が「遊んで、遊んで!」と、足元にまとわりついてくる。
その中の一人が、差し出してきた絵本が目に止まった ]
あー、懐かしいなあ。