― 再び街中へ ―
[ 二人と別れ、
雑踏の中へ踏み入れて歩いていれば
弦と声から成る柔らかな調べが聞こえてくる。>>21
歌劇の主役を取る娘役のような声ではない、
やや掠れた低めの声で紡がれる物語。
旅する娘の冒険譚も終盤に差し掛かる頃。
声の余韻を追うように拍手が響く。>>41
もはや慣れた風景ではあれど、
詩人の歌声に耳を傾ける聴衆の中に一人、
目を止めるに十分な人の顔があった。 ]
『 森の馬車の歌を聞きたい 』
[ 続きを望む声が聞こえるから、
まだしばらくはこの場に留まっているのだろうかと
推測をしながらも暫らく陽気な歌声に耳を傾ける。 ]