旅人 ニコラス

[また同じ惑星出身者の共通事項に、”死に対する恐怖感が薄い”がある。
何故なら齧歯類種族の宿命というか。捕食される危険はほぼないとはいえ、幼少時の死亡率が異常に高いせいだ。

生まれた子供のうち無事成人するのはほんの一握り。『宇宙連邦』に加入できるほど豊かな星になったとはいえ、現在もこの厳しい状況に変わりはない。
言い方は悪いが、生存競争に打ち勝った強い個体のみが子孫を残すことができる。ある意味”死”は、いちいち怖いと感じられないほど当たり前過ぎる事象なのだ。

しかも成人個体は短くても200年以上生存する。今度は逆に”死”から遠ざかり過ぎて、やはり関心が薄くなる。
故に”身近な人々が目の前で命を落とす”世界に身を投じても、”自分に死が訪れることへの畏怖と忌避感”は希薄だったのだろう。]