[そして、残りの雑兵部隊、数千体を見やり。]
……あまり使いたくはなかったが………!!
クレステッドの名のもとに命ず
我が兵が恐れを抱くことを禁ずる
無心に進め!
[傍らに備えた鞄から黒い大理石を取り出し、粉々に粉砕しつつ。
魔術的な動きで杖を動かし、雑兵部隊に魔法をかけ。
掛けた後、船団の方向を杖で指す。
すると彼らは、まるで意思なき人形のように、船団へ向けて歩き出す。
彼らは船団を止めるか死ぬまでは、恐怖を感じない人形として進軍する。
こちらには戦略などないが、軍団の指揮を取れるものが一人しか居ないがゆえの苦肉の策。
一刻も早くエトヴァルトの到着を願うが……その時が来ないことを、彼はまだ知らない。
無論、エルフ達の進軍に気づける余裕は、現状ない*]