[籠手で打ち払った炎の矢は、砕けて火の粉をまき散らした。灼熱感が左腕を焼くが、深刻なダメージにはなっていないだろう。少なくとも、動く。炎の欠片が降り注いで跳ねたが、これも髪や翼を焦がしたにとどまる。火の粉の雲を突き抜ければ、炎と氷の使い手とは指呼の間だ。鞭の間合いに入るより早く、狼の上で翼広げ、背を蹴って真上に跳びあがる。牙剥く狼が相手の間合いに飛び込むのとわずかにタイミングをずらし、引き絞った一矢を放った。]