――講義室――
[明日の準備をするため、無人になった講義室で資料の整理を行う。
上官の呼び出しに応えるなど、ばたばたしておりフィオンと昼食をとる機会を逃したなと考えながら、この長閑な空気に慣れて来た自分を自嘲した。
上官の暢気さに呆れているカスパルもこの体たらくだ。
なるほどここは平和な駐屯地のようだった。
その証拠に、扉が開いた瞬間、誰だか気がついたのにとっさに資料を纏めて出て行くことも、表情を取り繕うこともできず、その場に立ち尽くす。
扉を開けたのは、ドロシーだった。>>53
彼女が自分を捜していると知っていれば、あらかじめ避けて動いたものの、そこまで忠告してくれる人はいなかったらしい。]