― 翌朝、宿 ―
[ヨアヒムと別れた後、アルビンは宿屋へ帰った。結局教会へ行かなかったが明日時間ある時にでも行けば良い。夜はニコラスと食事をしただろうか。酒を酌み交わしながらでも。
翌朝、宿屋でゲルトの淹れたコーヒーをのんびり飲んでいるとパメラが宿屋へ顔を出した>>1。
初めて出会った時は年端も行かない少女だった。だが久しぶりに見るパメラは去年と比べてより一層美しくなっていた。
数度の瞬きをした後、久しぶりの再会にアルビンは唇に微笑を浮かべた。]
パメラ、久しぶりだな。ああ、街のショコラーデなら仕入れて来たよ。
小さい頃からパメラは甘いものが好きだもんな。荷物なら部屋にあるから後で持ってきてやるよ。
[街のショコラーデについて訊ねられればそう返事をする。
パメラにも席に座る様に勧めて、女将に自分と同じ料理を注文しただろう。甘党な彼女の為にミルクと砂糖がたっぷり入ったコーヒーを淹れてやった。
ゲルトがパメラにどやされるのをアルビンは笑って見ていた。
その間、昨夜宿屋へ戻る途中でパメラの肉親が死んだ事を小耳に挟んだが、アルビンはその事を口にはしなかった。]