……ん?[魔の口元に浮かんでいた笑みが、不意に溶ける。巡らせし紺青に映るは、凍てつき砕ける花弁の姿]……あれは……『氷華』、か。やれ、代を重ねど、無粋なるは変わらぬか。[先代の『氷華』の名を持つ者とも、競った事はある。手繰る真白は美しいとは思えども、彼の華の築いた千年紀は、魔の好みには合わなかった]全てを真白に閉ざすなど……面白みに欠けように。[そんな呟きひとつ、落とした後。魔は右の手に薄紅の扇を生み出し、はたりと開く。一つ扇げば、流れるは桜の香り含んだ風一陣]