[腹立たしいことはまだあった。
現村長が、今年の冬の備蓄を、ディルドレのアドバイスよりも増やそうとしてるそうだ。
奥さまコミュニケーションでそれを耳に挟み、ディルドレは憤慨しながら現村長の執務室に怒鳴りこんだ]
お前は村を滅ぼす気なのかい!
いいかい、避難所の備蓄なんてこれ以上必要ないんだよ!
冬も、行商人を呼べばいいだけじゃないか!
備蓄なんかを増やすくらいなら、服飾商をお呼び!
あたくしはもう1か月も同じ首飾りを付けて居るんだよ。あたくしがどれだけ恥ずかしい思いをしているのか、お前には分からないの!
[先に居て話をしていたらしき軍人が、困った顔をしながら、退出した。
当たり前だ。ディルドレの用事より大事な物なんてある訳ないもの]
[現村長は、前村長だったディルドレの亡夫の弟だ。
彼がディルドレに表向きは敬意を払いつつ、実は邪魔臭く思っている事など、ディルドレにはお見通しだ]
お前がお気楽な学生をやって居た頃から、あたくしは夫の補佐をしていたんだよ。
そのあたくしの言う事が間違ってるとでも云うの!