[この状況での殺人の経歴の告白が、どのように捕えられるかは、概ね予想通りと言えたけれど。
正確に言えば、殺したのは、いま青年が“認識”出来ている分としては、ひとり。
見捨てたのは――… 数え切れぬほどの屍の山。
覗きこまれた瞳に、沈むような赤が揺らめく。]
――…
旧い友人を殺して、食った。
俺が人狼だったなら、まだ――…
[今度こそ。
その言葉がどのような効力を持つかは、はっきりと分かって。
囁くように、平坦な口調で、真実を口にした。
トールの耳に届いていたかどうかは定かではないが、恐らくは、聞き取るのは難しかっただろう。]