[そうやって、あちこちを回る、私の脚になったのは―――]
『S・糸川くんだ』
…え?
[おじぃに唐突にそう切り出されたときは驚いた。
糸川くんにはもう乗せないって言われてたし、当分触るのも、見るのもダメって…]
『言ったろ、S・糸川くんだ。糸川くんとは違うのだよ、糸川くんとは』
…なにその屁理屈。
[思わず苦笑い。しばらくぶりに会った糸川くんは、なんだか着膨れしたみたいに一回り大きくなっていた。透き通るドームを開けて、コクピットに収まる。
コクピットの座り心地は、前と同じに思うけど…]
『一回りでかくして、できた隙間に立山のヤロウんとこの接着剤を封入してある。
これでグルーガンの弾切れはほとんどねぇし、仮に装甲が万が一抜かれることがあっても、突き破ってきたヤツを接着して硬化、装甲の一部にできるって寸法だ』
[ぱたたたたっとパネルの上で指を躍らせて、おじぃの言葉を確かめる。…あれ?これって…?]