― 出撃直前 ―
[まだ朝日も昇ファロン少尉率いる部隊と改めての顔合わせと打ち合わせを行う]
帝国軍に通信を使った痕跡はなし、だ。
通信を使わずともいい、か。
それとも私との回線が開いたから
私の持っているものが公国軍に奪われたことを想定して用心しているのか――
帝国軍としては、「捕虜」カサンドラは、利用の終わった道具として切捨ててもよいものだ。私の指先の真似ができるかはおいておいて、私の研究成果はちゃんと真面目に仕事して引き継げるようにしているからな。
殺して機密を護るということも十二分に考えられる。
危険な任務だ。皆、最善を尽くそう。
[土やら血がついたままの帝国軍軍服に袖を通す。
どこか遠慮の見えるメンバーに容赦なくやれと目で語る]