こいつはありがたい。
よ……、っと。
[若い男の軽妙な声が響いた。>>0:80
賊が色めき立って、その男へと向け殺到する。
相手にならぬと見えていたのだろう、こちらへの注意が逸れた。それを機に、剣を鞘ごと馬の鞍から引き抜いた。]
うん、悪いけど。
ちょっと倒れて貰うよ。
[助け手の技量が抜きん出ていることは、一瞬にして見て取れた。
ならばこれで充分だ。見かけによらず鋭く振り払われた剣が賊の脇腹を捉え、昏倒させる。振り返って武器を振り下ろしてきた賊を身を低くしていなし、背に強烈な一撃をお見舞いしてやる。]