だいじょうぶですよ。
こわいものなんてありません。
――さ、いきましょう?
[舌を打ち、バツのわるそうな表情をする彼の頭を撫でて
彼が視線を向けた、大きな階段の方を指さして見せます。
主たるもの、どんな時も優雅たらねば。
――そんな強がりが、すこし。
けれど大半は、この奇妙な屋敷への好奇心と、ここでえられるだろう知識への興味に意識がいっていますから。
前を見すえるドロシーの顔には、恐怖などかけらも見てとれなかったでしょう]
ドリィにあしがあれば、
あなたとおどってさしあげられたかしら。
[階段をのぼりながら、大きなダンスホールを見やり
からかうように落とした言葉は、彼にはどう伝わるでしょう。
ふかい意図のない、幼子の戯言ですけれど]