[吐き出す吐息で曇る眼鏡を外して、胸ポケットにしまい込めば、溜息を一つ。ぼやけた視界で見上げる暗い色の空、眼鏡を外してしまえば一欠けらの星も見えない見たいものなどありはしないから、それが丁度良かった]雪…降れば良いのになぁ。[そうすれば、この寒さを雪の所為に出来る。身体が冷えただけなのだと、そう思い込めばいい。凍えそうに寒いのが、身体では無く心だなんて、ああ、なんて馬鹿馬鹿しい――…]