誰か……?
いや、此処に来るまでには俺しかいなかったぞ?
[そう告げたのは態と。
誰かいた、と言えば自然と己から視線が外れるだろう。
が、己の事だけを考えさせ、悩ませるが為だけの演出。
少し声が震えているのに気づけば頭を一度軽く撫でようか。>>52]
なんだなんだそんな情けない声を出して。
ほら、しっかりと取ってこれたか?火を焚いて飯の支度をするぞ。
[背をばん、とシャキッとさせるために叩き。
テントの傍へと戻ろうか。
嗚呼愉しい。
この怯える表情も、声も、全て己のモノにしてしまいたいという欲が溢れて堪らない。]
嗚呼、言い忘れていたが、料理という調理も君にお願いしようか。
結構腹ペコでね?
素早く頼むよ。
[彼が火を焚けばようやく辺りが明るくなる。
閉じておいた本を開き、また視線を本へと落とした。*]