…ここじゃ、足りないんだ。[カナンは呟き、ルディの身体を姫抱きにかかえあげて、救護所の外へと運び出す。チーフおばちゃんが眉を吊り上げたが、カナンは待って、と頼んだ。] 起きなさい、ルディ。 いい風だよ──[呼びかけるようにルディを包んで春の風が吹き抜け、木を離れた花びらが一片、薄く開かれた唇に舞い降りる。*]