[今しか――オットーがリゼットを取るに足りないものと見做している今しか、彼を斃す機会はない。勿論、彼が少女の焦燥を察し、それすら利用しようとしていることなど知る由もなかった] ――……。[いつの間にか、オットーが自分に注意を向けていたことにすら、気付けないまま。彼の存在の威圧感の僅かな揺らぎに、緊張で張り詰めていた背を押されるようにして] うああああっ!![叫び、山刀を抜きながら、弾かれたように駆け出して。油断し――無防備の"はず"のオットーへと斬りつけた]