[【琴平】の前を通り西側に向かったため、南隣の人だかりもゾフィヤに対してのものだと思い込んでいた。
最後に会ったローズマリーに、死の兆候はなかったし。
突然の死を、覚悟してる者ほど案外しぶといと身を以て知っている。]
うっせーよ!
ぼけっと突っ立って手遅れになったらどうすんだ!
[さまざまな思惑と困惑で激昂し、冷静さを欠いて。
いつも以上に聞こえの悪くなった耳にフレデリカの制止は届かない。
それでも女性を突き飛ばすなんてことはしなかった。>>41]
……ちくしょう……
[がっくりと膝をつき、拳を握りしめる。
それ以上感情がこぼれないよう、くちびるを噛み締め。
死因が管理人と同じ者なら、遺体の運搬を手伝う事すらさせないのだろう。今この場でできることは、子が駄々をこねるように嘆き喚き散らすだけかと思えば。
この身の無力さに、呆れ嫌気が差してくる。]