ナハティガル...僕の祖国では、妖は得体の知れない、人間とは違う領域の、人には無い力を揮う存在で、時には人に害をなし命を奪う事もある恐ろしいものでもあると思う人が多い。
実際に妖に出逢うことも滅多に無いから、僕も聞かされるままの恐れを持っていた。
だけど、それは、知らずにいたからこその恐れだったと、今は分かる。
人には無い力を持つ、怒らせれば確かに恐ろしい相手かもしれないけど、得体の知れないナニカではなくて、人と同じ心を持ち、心を通わせることもできる存在だと、今までの旅と、この国の在り方で知ることが出来たからね。
竜と妖は違うと、君は思うかもしれないけど。
[ 一般的に竜と直接意志を交わせるのは騎竜師だけだ。だから最初から言葉を交わせる妖とは少々事情が違う部分も確かにあるのだけれど ]