― 連邦軍野営地/軍議の後 ―
[軍議より少し後、行軍開始よりは前のこと。
一風変わった───軍隊とは思えぬ一団が、連邦軍野営地に到着した。彼らはローランド家の紋章をお守り代わりに野営地へとやって来る。程なく彼らはラルス・ローランドの元へやって来た。]
既に両軍の斥候は往来しているから、気を付けて。
街以外の農場の住人やら───、そうだ。
彼ら、ブリュノーの住民に会えたなら”ケチらなくていい”
逃げ道でも食料でも、必要なものを気前良く振る舞ってやれ。
その代わりにきっちりと”道を聞くこと”
湿地だとかそうした情報があれば望ましいけど、そこは任せる。
[ローランドの天幕で、そんな指示を受けているのはローランドの母方の祖父、クレメンスの元にいる商人らだ。
ローランドはかつて、祖父クレメンスの縁で商人として修業して過ごしていたことがある。その時に身をもって知った商人らのネットワーク、純然たる騎士には知り得ぬ草々の知恵といったものを使いこなすことをローランドは経験から学んでいた。それを今、活かそうというのだ。]