[だがヨアヒムからの問いかけには、咄嗟に何と答えようかと考え込んだ。ほんの一瞬の出来事だったけれども。] ゲルトが? ……。いや、ヨアヒム宛には特に何も。ただお菓子を届けてやってくれ、とだけ。[自分がお菓子を見つけたのではなく、正直にヨアヒムから託されたと言外に告げる。ヨアヒム宛の伝言がないことも事実だった。ヨアヒムもゲルトに対して気まずさを覚えているのだろうなと予測している。だからこそ、相手の気持ちが気になるなら、直接会話しなくてはならないという考えだ。*]